アパート経営の大家を目指している方の中に、
「アパート経営は、どの様な仕事をするのだろうか?」
「アパート経営のリスクに対して、具体的な対処法はあるのだろうか?」
と悩んでおられる方はいませんか?
実は、アパート経営を実際に始めますと、主な仕事内容は、
・入居者管理
・建物管理
・資金管理
の3つになります。
この記事では、大きく分けて次の5つについて詳しく解説します。
1.アパート経営の仕事内容
2.アパート経営(運営)の仕事内容1:入居者管理
3.アパート経営(運営)の仕事内容2:建物管理
4.アパート経営(運営)の仕事内容3:資金管理
5.不動産会社への管理委託
ポイントは、様々なリスクに対して真摯に向き合ことで解決することができ、アパート経営能力の向上を図ることができます。
スキル・ノウハウではなく、姿勢が重要です。
<目 次>
1.アパート経営の仕事内容
アパート経営全体の仕事内容としては、
・事前準備(構想段階)
・アパート購入
・アパート運営
・アパート売却
の4段階になります。
それぞれに様々な仕事内容があります。
1-1.事前準備
事前準備の段階では、
・アパート経営の目的を明確化
・アパートの入居者層を明確化
・アパート経営の資金計画
・アパート経営に必要な知識武装
などがあります。
事前準備をしっかり行いますと、成功する可能性が高くなります。
事前準備を疎かにしますと、失敗する可能性が高くなります。
1-2.アパート購入
アパート購入の段階では、
・優先順位を考慮した物件探し
・購入する場合:不動産会社の選択
・建築する場合:建築会社の選択
などです。
特に物件探しの段階で、アパート経営の成功・不成功の割合は8割を占めます。
何故なら、物件の取り換えは後でできないからです。
1-3.アパート運営
アパート運営の段階では、
・入居者管理
・建物管理
・資金管理
などです。
大家としてのアパート経営に対する姿勢が、明確に出るところです。
入居者へのサービスや建物維持管理に真摯に向き合えば、
・高入居率
・家賃収入の安定
は自ずとついてきます。
1-4.アパート売却
キャピタルゲイン(売買差益)を獲得できるか否かの結果が出ます。
と同時に、アパート経営の総収支結果が出ます。
アパート経営の総収支は、
インカムゲイン + キャピタルゲイン
=(家賃収入 ― 支出)+(売却価格 ― 購入価格)
により算出されるからです。
インカムゲイン(家賃収支)がプラスでも、キャピタルゲイン(売買差益)のマイナスが大きければ、アパート経営の総収支は、マイナスとなり、アパート経営は失敗となります。
インカムゲイン + キャピタルゲイン > 0:成功
インカムゲイン + キャピタルゲイン < 0:失敗
なお、「アパート運営」を含む全体的な「アパート経営の手順」につきましては、下記の記事をご覧ください。
また、不動産経営と不動産投資の違いについては、下記の記事をご覧ください。
2.アパート経営(運営)の仕事内容1:入居者管理
入居者管理には、
・入居者募集
・家賃集金
・入居者トラブルへの対応
・賃貸借契約への対応
・空室への対応
・家賃滞納への対応
・孤独死への対応
・退去の立会、修繕箇所の確認
などがあります。
2-1.入居者募集
空室がある場合、入居者募集をする必要があります。
2-1-1.不動産仲介会社の選択
入居者募集は、不動産仲介会社を通して行います。
入居者付けは、不動産仲介会社に依頼する必要があります。
ここでの注意点ですが、
・入居者付け
・管理
の両方行う不動産仲介管理会社は、自社のみで仲介を決めようとする傾向があります。
広く不動産仲介会社に情報を流さないということです。
理由は、
・借り手(入居希望者)
・貸し手(大家)
の両方から仲介手数料を取れるからです。(両手取引)
(出所:公益財団法人日本住宅総合センターの図を加工)※1
別の不動産仲介会社が、入居者の媒介をしますと、大家だけしか仲介手数料を取ることができません。(片手仲介)
最悪の場合、まだ入居者が決まっていないのに、別の不動産仲介会社からの入居者の斡旋を断るケースもあります。(囲い込み)
そうなりますと、入居者が決まるまでの期間が、どんどん長くなります。
もちろん、その様な行為は宅建業法で禁じられています。
(出所:公益財団法人日本住宅総合センターの図を加工)※1
したがって、入居者付けに特化した不動産仲介会社に入居者募集を依頼する方が賢明です。
入居者募集を依頼する際は、1社のみでなく、複数社に依頼する方が賢明です。
不動産仲介会社ごとに、入居者募集に対する熱量が異なるからです。
また、同じ不動産仲介会社の中でも、担当者により、熱量が異なります。
依頼したら終わりではなく、入居者が決まるまで、何度も不動産仲介会社に出向き、募集活動を確認する必要があります。
2-1-2.入居者を賃貸保証会社へ登録
賃貸保証会社は、入居者が滞納した家賃を立て替えて、大家に支払う保証会社です。
大家や不動産会社は、入居者が賃貸保証会社に登録することを条件として、賃貸借契約を締結するケースが一般的です。
入居者が、万が一家賃を滞納しても、賃貸保証会社が滞納家賃を補填しますので、大家としても安心です。
入居者は、賃貸保証会社を利用する賃貸借契約を締結する場合、家賃に応じた保証料を支払う必要があります。
・初年度 :家賃の0.5~1か月分
・2年目以降:1~2万円/年
となります。
賃貸保証会社は、入居者の属性を調査した上で、登録の有無を決めます。
大家としても、入居者の属性
・過去の家賃入金遅延履歴
・過去の家賃滞納履歴
などが判明しますので、利用されることをおすすめします。
2-2.家賃集金
自主管理の場合、大家自身が家賃集金を行います。
通常は、来月分の家賃を今月末日までに振込む契約になっています。
大家が指定した銀行口座に、入居者が、家賃を振込む形式です。
しかし、入居者の中には
・家賃の振込みを忘れている場合
・体調不良により入院し、振込みできない場合
・勤務先による解雇により、給与収入が入らず、振込みできない場合
などがあります。
月末月初は毎日、家賃の振込み状況を点検し、未納者の有無を確認する必要があります。
未納者が発覚した場合、
・入居者本人へ督促の連絡
・応じない場合、賃貸保証会社へ連絡し、滞納家賃の立て替えを依頼
することになります。
不動産管理会社に管理委託している場合、上記の手続きを管理会社が行います。
2-3.入居者トラブルへの対応
入居者のトラブルは、大きく分けて
・入居者によるケース
・室内設備に関するケース
があります。
2-3-1.入居者によるケース
入居者トラブルとして、
・騒音を出す入居者
・悪臭を放つ入居者
・認知症で徘徊する入居者
・覚せい剤を打っている入居者
などがあります。
いずれも筆者が、アパート経営において経験したケースです。
例えば、騒音を出す入居者がいました。
その経緯や顛末について、下記の記事をご覧ください。
重要なことは、どのケースでも、近くの警察署(交番)に早期に相談することです。
部屋の中を確認する理由で、大家単独で事前に断りなく、問題を起こしている入居者の部屋に入ることは、禁じられています。
しかし、警察官同伴ですと、警察の権限により合法的に部屋に入ることができます。
どの様なケースでも、早期に警察沙汰にすることがポイントです。
そうしますと、様々な知恵をいただくことができ、全てのトラブルを解決することができました。
2-3-2.室内設備に関するケース
室内設備に関するケースについては、「3-3.設備・器具のメンテナンス」にて解説します。
2-4.賃貸借契約違反への対応
筆者の経営するアパートは全て、ペット不可にしています。
また、賃貸借契約書にもペット不可について記しています。
しかし、入居者の中には、黙ってペットを飼うケースがあります。
筆者の事例では、猫を飼っていた入居者がいました。
入居者が退去時に、立会いをしますが、その時に判明しました。
・部屋のいたるところに毛の塊が落ちていたこと
・台所と部屋の仕切戸の敷居の一部に削れた個所があること
により、猫を飼っていたことがわかり、入居者を問い詰めました。
すると、猫を飼っていたことを自供し、修繕費用を請求することにしました。
修繕工事後(右写真)
管理会社に管理委託し、入居者の退去時に管理会社の人に任せていたら、気が付かなかったかもしれません。
その後、管理会社から
「仕切り戸の敷居が経年劣化により、痛んでいるので修繕する必要がある」
との連絡が入り、大家負担で修繕していた可能性があります。
2-5.空室への対応
空室対策は、アパート周辺の不動産会社に対する営業度合いで決まります。
先ずは、入居者付けを行う不動産仲介会社に、アパートの存在を知ってもらう必要があります。
筆者の場合、アパートの最寄り駅周辺の不動産仲介会社を中心として、前後3駅の範囲内の不動産会社に営業を行います。
その際、アパートの空室情報を掲載した資料を提示しますと、不動産仲介会社も認識していただけます。
ここまでは、熱心な大家であれば、誰でも行っていることです。
肝心なことは、不動産仲介会社の担当者に対して、インセンティブ(入居者付けをしたくなる動機)を与えることです。
筆者の場合、入居者が決定した際、不動産仲介会社の担当者に対して、
・別途ボーナス支給
もしくは、
・飲食の場を設定(店長と担当者を接待)
などを行い、入居者付けの労力をねぎらいます。
日本では、民民接待は、法に触れませんので、堂々と行います。
2~3ヶ月の空室期間により、家賃収入が入らない分を考慮しますと、
・ボーナス
・接待費用
は、1か月分の家賃にもなりませんので、安いものです。
しかし、ここまで行う大家はほとんどいませんので、差別化に成功しています。
少なくとも、管理委託や一括借り上げをしている大家には、不可能です。
2-6.家賃滞納への対応
筆者は、これまでに家賃滞納者を4人経験しました。
筆者の所有するアパートは、全て中古物件を購入したものです。
4人の家賃滞納者は、全て引き継いだ入居者です。
上記で解説した賃貸保証会社に入っていませんでした。
その中で、完全に滞納家賃を回収できた入居者は1人だけです。
残念ながら、3人の入居者からは、家賃回収をできませんでした。
3人の未回収者には、退去していただきました。
・1人は、司法書士に依頼し、強制退去させました。
・2人は、筆者の交渉により、退去させました。
そこで、感じたことですが、家賃滞納者への対応は最初の1か月目が勝負です。
家賃滞納が始まった段階で、臨戦態勢に入る覚悟が必要です。
この段階で、後日における法的処理を想定して、書面を提示し、
・書面を提示した日時
・家賃滞納者と交わした会話
などを全て記録する必要があります。
2-6-1.家賃滞納1か月目
この段階で、家賃滞納を踏みとどまらせることが重要です。
それには、「家賃未納のお知らせ」などの書面を入居者に提示することが大切です。
郵送する場合、一般郵便で行います。
2-6-2.家賃滞納2か月目
家賃滞納が2か月目に入りますと、滞納家賃を払えなくなる確率が上がります。
大家の立場としては、争う姿勢を覚悟しなければなりません。
入居者に対して「督促状」の書面を提示します。
郵送する場合、まだ一般郵便で良いです。
ただし、入居者に対して争う姿勢を表に出すことは、避けなければなりません。
あくまでも、温和な会話で話を進めつつ、解決の糸口が見いだせないかを探る必要があります。
2-6-3.家賃滞納3ヶ月目
家賃滞納が3か月目に入りますと、法的手段を取る覚悟をしなければなりません。
入居者に対して「催告状」の書面を提示します。
郵送する場合、内容証明郵便を利用する方が良いです。
ただし、この段階でも、入居者に対して争う姿勢を表に出すことは、避けなければなりません。
あくまでも、温和な会話で話を進めつつ、解決の糸口が見いだせないかを探る必要があります。
例えば、分割払いで目途を立てるなどです。
2-6-4.家賃滞納4か月目
家賃滞納4か月目に入れば、滞納家賃を回収できる見込みは、ほぼゼロです。
立退きを考慮して、法的手続きに入ります。
・筆者のアパート経営でのトラブル経験
・大家仲間との情報交換
・司法書士・弁護士によるセミナー
による情報に基づきますと、入居者の家賃滞納と立退きを依頼するのは、司法書士の方が良いです。
2-7.孤独死への対応
現在は、入居者の年齢に関係なく、部屋の中での孤独死が増加傾向にあります。
その際、発見が早ければ、後処理費用は少額で済みます。
しかし、発見が遅れますと、遺体が腐乱し、建物の構造へも影響を与えます。
そうなりますと、後処理費用は多額を要します。
そこで、欠かせないのが、家賃補償保険への加入です。
家賃補償保険は、アパート経営などの大家のための保険です。
火災、風災、水災、死亡事故など、様々な事故によりアパートが損害を受けた結果、建物の所有者に生じる建物復旧期間中の家賃収入の損失に対して、保険金が支給されます。
特に死亡事故については、保険対象である戸室内での
・居住者の自殺による死亡
・居住者以外の発見による死亡の発覚
・居住者が犯罪被害に遭った結果の死亡
により、戸室の改装を余儀なくされた場合、保険金が支払われます。
筆者も加入していますが、幸いなことにまだ利用したことはありません。
掛け金も少額ですので、大家の安心材料としては、必須アイテムと考えます。
2-8.退去の立会、修繕箇所の確認
入居者の退去の際には、必ず大家が立ち会うようにします。
以下の項目を点検・確認します。
□ 鍵の引渡し
□ 損傷個所の確認 → 原状回復工事の手配
□ 残置物の有無 → 有れば入居者に対して引き取り要求
□ 敷金の精算
□ クリーニングの手配
特に重要となるのが、損傷個所の確認と残置物の有無です。
・水回りの損傷
・壁・床・天井のクロスの剥がれやフローリングの傷
・電化製品の損傷:エアコン・照明
など、入居者による損傷が明確な場合、その場で原状回復工事への同意を取り付ける必要があります。
できれば、「覚書」などの書面をその場で作成し、双方が記名押印することが大切です。
3.アパート経営(運営)の仕事内容2:建物管理
建物管理については、
・共用部分の清掃
・ハウスクリーニング
・設備・器具のメンテナンス
・リフォーム工事
・大規模修繕工事
などを行います。
3-1.共用部分の清掃
共用部分の清掃は、非常に大切です。
共用部分が汚れていますと、アパートのイメージにも影響します。
□ エントランス
□ 共用廊下
□ 階段
□ 駐車場・駐輪場
□ ごみ置き場
などに、ごみが散乱していることが無いように注意が必要です。
特に、ごみ置き場については、ごみが散乱し易いので注意が必要です。
自治体により、ごみ回収日が決められています。
決められた日にゴミ出しを行うことを、入居者に徹底させることが大切です。
ゴミの出し方について、
・掲示板への掲載
・チラシ配布
などを行い、協力を依頼することが大切です。
筆者は、共用部分の掃除を、アパート経営の中で最も重要な仕事の一つと考えています。
理由は、
・入居者と会い、コミュニケーションを取れる
・近隣住民と会い、コミュニケーションを取れる
・建物の劣化損傷個所をいち早く、把握することができる
からです。
入居者や建物に対して、少しの変化も見逃さないように心がけています。
そうしますと、様々なトラブルを、初期段階でくい止めることができます。
3-2.ハウスクリーニング
入居者が退去した際、次の入居者募集を行う前に、ハウスクリーニングを行うことが大切です。
特に水回り(台所、浴室、洗面所、トイレ)は、綺麗にすることが大切です。
なお、ハウスクリーニングの詳しい内容につきましては、下記の記事をご覧ください。
また、空室期間中、少なくとも1か月に1回は、水回りの全ての水道蛇口から約1リットル位の水を出すようにします。
理由は、下水管からの悪臭が逆流して部屋の中に流れ込み、部屋中が悪臭で充満する事態を防ぐためです。
排水管の途中に排水トラップといわれるS字型やP字型などの排水管があります。
トラップは、水を溜める封水機能があり、下水管からの悪臭を逆流させない装置となります。
もし、乾燥し易い季節に、水を一切流さない期間が1~2か月ありますと、封水が全て蒸発します。
(出所:水道1番館)※2
万が一、その様な状態の時に、不動産仲介会社が入居候補者を部屋へ案内した場合、
・入居候補者は、すぐに断る
・不動産仲介会社の担当者は、二度とその部屋を案内したいと思わなくなる
事態となります。
管理を怠りますと、発生し易い事故となります。
3-3.設備・器具のメンテナンス
入居者から設備・器具に関するクレームが入った場合、即対応することが大切です。
例えば、
・エアコンが動かなくなった。
・給湯器が作動せず、お湯が出ない
・蛇口が緩くなり、水が出っぱなしになる
・天井から水が漏れる
などです。
上記は、実際に筆者が入居者から直接連絡が入ったクレームです。
筆者の場合、入居者全員にスマホの番号を教えていますので、設備・器具の不具合があれば、すぐに連絡をしてくれます。
他の仕事中でもない限り、すぐに駆け付け、その場で業者に修繕依頼をします。
天井を剥がし、2階洗面所の水道管からの水漏れが判明(右写真)
肝心なことは、入居者にストレスを感じさせる時間を、できる限り短くすることです。
ストレスを長く感じさせてしまいますと、入居者の退去に繋がるからです。
そのためにも、
・家電販売店
・電気・ガス会社
・水道・下水道業者
・内装業者
とのネットワーク形成が重要です。
しかも、緊急時に電話1本で、優先的に行動していただけないと意味がありません。
ここでも、日常における上記会社との付き合いがものを言います。
筆者の場合、仕事をしていただけますと、必ず翌日には工事費を振り込みます。
業者も、翌日には必ず入金がありますので、優先的に動いていただけます。
また、火災保険も重要です。
筆者の場合、火災保険で
・エアコンの新規交換工事(30台)
・給湯器の新規交換工事(20台)
の全てを賄うことができました。
通常の火災保険では、エアコンや給湯器の新規交換工事に保険の適用はありえません。
関心のある方は、連絡をいただければ、情報を教えます。
3-4.リフォーム工事
建物工事では、
・建物外壁・共用廊下・階段のひび割れ補修
・防水補修工事
・照明器具の交換
・消防設備の保守・点検・交換
などです。
入居者の退去に伴い、
・エアコン・給湯器などの機械設備の交換
・天井・壁・クロスの張替工事
・キッチン・洗面・トイレ・ユニットバスの水回りの補修・交換工事
などです。
筆者の場合、特に壁と床のクロスにこだわりを持っています。
当初、30歳前後の男性サラリーマン入居者をターゲットにし、
・壁クロス:濃い紺色
・床クロス:濃い茶色
に模様替えをしました。
結果として、女性の入居者の方に好まれ、想定が違ったことがあります。
女性の方が、比較的綺麗に住んでいただけますので、うれしい誤算でした。
リフォーム後の壁(紺)・床(茶)(右写真)
3-5.大規模修繕工事
建物工事では、
・屋根の張替
・防水工事
・外壁のタイル張替・塗装工事
・共用廊下・階段の塗装工事
・防水工事
などです。
機械設備工事は、
・エレベーター
・受水槽・水道管の水回り
・浄化槽・下水管・雨水管の排水回り
の補修・交換工事などです。
筆者の場合、
・外壁の塗装工事
・ベランダの防水工事
などを行いました。
外壁が元々、薄いグレーでしたが、紺と白のツートンカラーに塗装しました。
外壁塗装工事の際、紺と白のツートンに変更(右写真)
4.アパート経営(運営)の仕事内容3:資金管理
資金管理は、
キャッシュフロー = 家賃収入 ― 必要経費 ― ローン返済額
> 家賃収入の20%~30%
となるように、管理することです。
4-1.家賃収入
家賃・共益費以外にも、礼金・更新料などの収入があります。
家賃は、賃貸借契約をした入居者から毎月いただく住居費です。
家賃以外の収入は、下表の通りです。
通常は、入居者が、来月分の家賃を今月末日までに振込む契約となっています。
アパート経営の根幹を成す収入源となりますので、何号室の入居者から何日に入金されたのかを記録に残す必要があります。
記録に残し、家賃入金状況を入居者ごとに点検・確認することにより、入居者の家賃支払いの傾向をうかがい知ることができます。
家賃以外にも礼金・更新料・敷金などがあります。
なお、礼金・更新料・敷金を取る地域が無くなる傾向にあります。
入居者が、礼金・更新料・敷金を取るアパートを避けるためです。
4-2.必要経費・ローン返済額などの支出
支出には、必要経費、ローン返済額があります。
4-2-1.必要経費
アパート経営において、必要経費は毎月もしくは毎年発生します。
必要経費の割合は、家賃収入の約20%です。
4-2-2.ローン返済額
アパート購入する際、大半の方が、不動産投資ローンを利用します。
毎月のローン返済額は、金利・融資期間・借入額により異なります。
ローン返済比率は、毎月の家賃収入(満室時)に占めるローン返済額の割合です。
ローン返済額は、支出の中で、一番大きな割合を占めます。
ローン返済比率は、約40%~60%となります。
ローン返済比率を40%以下に抑えますと、アパート経営は安全圏に入ります。
ローン返済比率が60%以上になりますと、アパート経営は危険な状態になります。
ローン返済比率を抑えるために、
・自己資金の割合の増加
・繰り上げ返済による元金減少
などを行い、毎月のローン返済額を抑えることが、アパート経営を安定させます。
なお、不動産投資ローンの詳しい内容につきましては、下記の記事をご覧ください。
4-3.キャッシュフロー(手残り額)
キャッシュフローは、家賃収入から必要経費やローン返済額を差し引いた手残り額です。
キャッシュフロー = 家賃収入 ― 必要経費 ― ローン返済額
アパート経営におけるキャッシュフローの割合は、空室率を考慮しますと、家賃収入の約20%です。
それを図式化しますと、下図の通りです。
なお、キャッシュフローの詳しい内容につきましては、下記の記事をご覧ください。
4-4.確定申告
アパート経営による不動産所得は、確定申告をする必要があります。
4-4-1.青色申告・白色申告
確定申告をする上で、青色申告にするか白色申告にするかを決める必要があります。
特典の多い青色申告がおすすめです。
青色申告と白色申告の違いを下表にまとめます。
4-4-2.アパート経営の所得税の計算手順
所得税・住民税・事業税の計算手順と計算式を下表にまとめます。
なお、確定申告の詳しい内容につきましては、下記の記事をご覧ください。
5.不動産会社への管理委託
アパート経営(運営)において、
・不動産会社
・管理方式
の選択は、非常に大切です。
5-1.不動産管理会社の選択
不動産会社には、不動産管理会社と不動産仲介会社とがあります。
5-1-1.不動産管理会社と不動産仲介会社との違い
不動産管理会社と不動産仲介会社との違いを下表にまとめます。
管理と仲介を併せ持つ不動産仲介管理会社もあります。
物件の管理を委託する場合、管理に特化した不動産管理会社に委託することをおすすめします。
理由は、不動産仲介管理会社に委託しますと、
「2-1-1.不動産仲介会社の選択」
において解説しましたように、自社の都合で入居者を決める会社も中にはあります。
管理に特化した不動産管理会社の場合、大家の立場で入居者を決める環境下にあるからです。
5-1-2.不動産管理会社を選択する際の基準
大谷義武著「オーナー社長のための収益物件活用術」の中に、
「優良な管理会社選びのチェックポイント」
があります。
筆者も共感する内容でしたので、引用します。
□ 管理実績 管理戸数2,000戸以上・入居率90%以上
□ 管理と仲介が分離しているか(首都圏)
□ エリア内のシェアが一番か(地方都市)
□ 収益物件の売買のノウハウがあるか
□ 管理会社(担当者)との相性
5-2.管理方式
アパートの管理方式には、
・自主管理
・管理委託
・一括借り上げ
があります。
自主管理、管理委託、一括借り上げの違いを下表にまとめます。
筆者のおすすめは、自主管理です。
アパート経営能力を一番養えるからです。
本気でアパート経営に取り組みたいなら、自主管理をし、入居者管理・建物管理・資金管理を徹底されることをおすすめいたします。
アパート経営開始2年間は、トラブルが続き大変です。
しかし、3年を経過しますと、入居者も落ち着き、ほとんど手間がかからなくなります。
管理費も支払わなくて済みます。
自主管理ができますと、キャピタルゲイン(売買差益)をプラスにする仕込みができるようになります。
本業があり、自主管理がどうしても無理な場合、「管理委託」をおすすめします。
しかし、「一括借り上げ」は、おすすめしません。
5-3.一括借り上げ
「一括借り上げ」のメリット・デメリットを下表にまとめます。
「一括借り上げ」は、大家が、一括借り上げ会社にアパート経営を丸投げします。
大家は、現在の入居率、入居者状況、建物・設備の不具合などを全く把握しない様になります。
一括借り上げ会社は、大家がアパート経営について何もわからない状態のままにしておくことで、言いなりにすることができます。
それが、一括借り上げ会社の狙い(本音)です。
こうしてアパート経営の初心者の中で、煩わしいことに触れたくない大家が、「一括借り上げ」の餌食になります。
例えば、
・しなくてもよい修繕工事を行う
・設定家賃を納得のいく理由無で下げる
・入居者情報を開示しない
などです。
逆にアパート経営成功者は、
・入居者とのコミュニケーションを大切にする
・建物・設備を自ら点検・確認
することで、アパート経営能力を培っています。
「一括借り上げ」を採用した時点で、アパート経営の成功はあり得ないといえます。
理由は、アパート経営能力を培っていない大家は、成功者とはいえないからです。
また、筆者の知る限り、アパート経営の成功者の中に、一括借り上げを採用している大家はいません。
6.まとめ
以上、
1.アパート経営の仕事内容
2.アパート経営(運営)の仕事内容1:入居者管理
3.アパート経営(運営)の仕事内容2:建物管理
4.アパート経営(運営)の仕事内容3:資金管理
5.不動産会社への管理委託
について解説しました。
アパート経営(運営)の仕事内容には、入居者管理・建物管理・資金管理があります。
それぞれ、セミナー・書籍・ブログ・YouTubeなどから勉強することはできます。
また、事前にある程度、勉強することは大切なことです。
しかし、実際にアパート経営をやってみないことには、アパート経営能力は向上しません。
管理戸数が10戸以下と少ない期間は、自主管理をおすすめします。
その方が、大家のためにも入居者のためにもなるからです。
「アパート経営は入居者サービスが第一」であると筆者は考えます。
それには、入居者にストレスを感じさせないスピーディな対応が要求されます。
自主管理ですと、それが可能です。
不動産管理会社に管理委託されるにしても、「アパート経営のいろは」を習得してからの方が良策であると筆者は考えます。
また、不動産業界は、他の業界と比較しますと、
・モラルが低い
・信用できる不動産会社が数少ない
という考えに基づいての意見です。
アパート経営を習得しますと、
・インカムゲイン(家賃収支)
・キャピタルゲイン(売買差益)
をある程度、操ることができます。
自主管理によるアパート経営により、成功大家への仲間入りをおすすめいたします。
7.参考・引用Webサイト
※1 「既存住宅取引と媒介契約制度に関する調査研究」(平成31年3月)
公益財団法人 日本住宅総合センター
https://www.hrf.or.jp/webreport/pdf-report/pdf/kisonbaikai.pdf
※2 「水回り用語辞典 排水トラップ」
水道1番館
コメント