ベルメゾン生活スタイル研究所の調査結果によりますと、女性が「年金をあてにしてはいけないと思う」と考える割合は、82.6%になり、将来に対して不安を抱いていることがわかります。
アパート経営を検討されている女性の中に
「女性でもできるのだろうか?」
「女性がアパート経営を行う際の注意点は何だろうか?」
と不安に感じておられる方はいませんか?
実は、女性の感性の方が、アパート経営には有利です。
ポイントは、女性目線とコミュニケーション能力です。
<目 次>
1.将来に不安を抱く女性が多い
女性のライフスタイルや不動産経営などを研究している
・ベルメゾン生活スタイル研究所
・auじぶん銀行
の調査結果を基に、女性の将来に対する考えや備えを見てみます。
1-1.老後の生活に不安を抱く女性が多い
株式会社千趣会が運営するベルメゾン生活スタイル研究所では、女性を対象にした生活意識アンケート調査を、2012年~2018年に実施しています。
その調査結果によりますと、2018年6月時点においては、
Δ「女性の生活意識アンケート調査(第13回)」結果(2018年)
(出所:ベルメゾン生活スタイル研究所)※1
という割合でした。
将来に対して、特に老後の生活に対して不安を抱く女性の割合が、高いことがわかります。
その詳しい内訳につきましては、下記の記事をご覧ください。
1-2.働く女性の「投資」の実態
auじぶん銀行株式会社は、全国の働く女性500名を対象に、「お金への意識と投資」に関する調査を実施しました。
その調査結果によりますと、2021年11月時点においては、
Δ働く女性の「投資」の実態
(出所:auじぶん銀行)※2
1位から9位まで金融資産が占め、10位に不動産投資となりました。
なお、株式投資と不動産投資の違いについては、下記の記事をご覧ください。
2.女性が将来に不安を抱く理由
女性が将来に不安を抱く理由として、
・未婚率の上昇と晩婚化
・男女間の賃金格差
・平均寿命の長さ
・老後資金2,000万円問題
などが挙げられます。
2-1.未婚率の上昇と晩婚化
男女共に未婚率の上昇と晩婚化が進行しています。
2-1-1.未婚率の上昇
生涯未婚率が、近年上昇しています。
生涯未婚率は、50歳までに一度も結婚したことのない人の割合です。
国立社会保障・人口問題研究所の研究調査による生涯未婚率の推移は、下表の通りです。
(出所:国立社会保障・人口問題研究所)※3
上表を見ますと、1980年までは、男性女性ともに生涯未婚率は、5%以下でした。
2015年になりますと、男性の生涯未婚率は23.37%、女性の生涯未婚率は14.06%まで増加しました。
2020年以降の推計値を含めてグラフにしますと、下図の通りです。
(出所:内閣府)※4
「シングル世帯が増加 専門家が説く「必要な覚悟」」(日本経済新聞)をツイート
https://twitter.com/exceate/status/1497422920800681986
2-1-2.晩婚化
平均初婚年齢は、長期的に見ますと男女共に上昇を続け、晩婚化が進行しています。
2016年で、男性が31.1歳、女性が29.4歳となっています。
(出所:内閣府)※4
2-2.男女間の賃金格差
男性の賃金水準に対する女性の賃金水準の割合を表した男女間賃金格差(男性=100)をみますと、2019年は74.3%です。
先進諸外国の80~90%と比較しますと、日本における男女間賃金格差は、依然として大きいことがわかります。
(出所:リクルートワークス研究所)※5
2-3.平均寿命の長さ
人生100年時代といわれていますが、2019年度の女性の平均寿命は、87.45歳です。
2040年の推計値では、89.63歳となっています。
働く女性が、定年退職を60歳で迎えるとしても、余生は平均して約30年になります。
その間、年金以外にも収入の当てを作っておきたいと考えるのは当然といえます。
(出所:厚生労働省)※6
2-4.老後資金2,000万円問題
令和元年6月3日、金融庁が「高齢社会における資産形成・管理」を公表しました。
いわゆる「老後資産2,000万円」問題です。
夫 65 歳以上、妻 60 歳以上の夫婦のみの無職の世帯では、毎月の不足額の平均は約5万円です。
まだ 20~30 年の人生があるとすれば、不足額の総額は、単純計算で 1,300 万円~2,000 万円になると、金融庁は指摘しました。
つまり、夫婦の年金だけでは、老後の生活費が不足することを指摘しています。
なお、老後資産2,000万円問題の詳しい内容につきましては、下記の記事をご覧ください。
3.アパート経営は女性の将来に対する不安を解消!
アパート経営は、将来に備える点においては、以下の点で優れています。
・私的年金
・団信に加入すれば生命保険の代わり
・ミドルリスク・ミドルリターン
・総投資額の大半を融資でまかなえる
3-1.私的年金
当サイト「アパート経営ラボ」がおすすめする「アパート経営の手続き」をしっかり実践し、アパート経営をそつなくこなせれば、将来において私的年金となります。
私的年金となるためには、様々なアパート経営に伴うリスクを克服できるスキル・ノウハウを身につける必要があります。
なお、「アパート経営の手続き」の内容につきましては、下記の記事をご覧ください。
3-2.団体信用生命保険に加入すれば生命保険の代わり
アパートを購入する際、不動産投資ローンを利用する場合、団体信用生命保険(以下、団信)に加入しますと、生命保険の代わりになります。
団信は、不動産投資ローンの主債務者が、ローン返済中に、
・亡くなった場合
・高度障害者になった場合
に適用されます。
保険会社が、主債務者に代わり、住宅ローンの残債を全額弁済してくれる補償保険です。
メリットは、不動産投資ローン返済義務が無くなりますので、遺族や高度障害者になった主債務者にとっては、経済的負担が無くなります。
つまり、ローン残高は一切無くなり、毎月今まで通り家賃が入ってきます。
デメリットは、ローン残債を補償する分、金利は若干上がり、通常のローン金利に0.2%前後の金利が上乗せされます。
3-3.ミドルリスク・ミドルリターン
投資は、現在保有する資金を投入し、資本の増加を図ると同時に、リスクを抱えることも意味します。
投資には、
・金融投資 :株式投資やFX投資・投資信託・公社債投資・RIET・個人年金保険など
・不動産投資:アパート経営、マンション経営、テナント経営(貸店舗・貸事務所)など
があります。
投資をリスクの度合いにより分類しますと、下表の通りです。
不動産投資は、リスクとリターン(利回り)が中間に位置します。
リスクとリターンのバランスを重視する人にとっては、検討し易い投資といえます。
特にアパート経営は、不動産投資の中でもバランスが良いものとなります。
なお、不動産経営と不動産投資の違いについては、下記の記事をご覧ください。
なお、土地活用の様々な手法につきましては、下記の記事をご覧ください。
3-4.総投資額の大半を融資でまかなえる
アパート経営は、一般的に物件価格の70%~90%を金融機関からの不動産投資ローン(アパートローン)でまかなうことが可能です。
自己資金として、物件価格の10%~30%に諸経費を足した金額を準備すれば良く、いわゆる「レバレッジ効果」です。
金融投資(株式、投資信託、)を目的として貸し出しをする金融機関は、原則としてありません。
現物である不動産投資だからできる資金調達方法といえます。
また、金融機関によっては、フルローンやオーバーローンを利用できる銀行や信用金庫、ノンバンクがあります。
「フルローン」の融資額は、物件価格の100%となり、自己資金として、諸経費のみを準備すれば良いです。
「オーバーローン」の融資額は、物件価格の100%に諸経費を足した金額となり、自己資金として、準備する金額はゼロとなります。
なお、不動産投資ローンの詳しい内容につきましては、下記の記事をご覧ください。
4.アパート経営は女性の強みを活かせる!
女性がアパート経営をする際
・物件購入には、女性目線が有利
・女性は複数のことを同時並行でこなせる
・女性のコミュニケーション能力を活かせる
点が、メリットとなります。
4-1.物件購入には、女性目線が有利
女性目線で魅力的な物件は、女性に限らず男性にも魅力を感じさせる物件となります。
物件選びの際の女性の感性は、入居者付けにも有利に働き、その分空室率も下がります。
女性は、水回りの清潔感・使いやすさ、日当たり、風通し、内装のセンス、共用部分(エントランス・廊下・階段)の傷み具合などを細部に亘り、点検・確認できます。
女性単身者向けのワンルームタイプに限らず、ファミリータイプの部屋探しにおいても、決定権は奥様にあることが多くなります。
家事動線や水回り設備、洗濯物の干場、清掃具合など、毎日こなす家事や建物の清潔感を気にするためです。
入居者層が学生の場合、学生が男性・女性に限らず、部屋選びの際に母親が同伴するケースが多くなります。
母親は、子供のことを心配して、セキュリティーや周辺環境、最寄り駅からの距離などに気を配ります。
ここでも母親目線が重要になります。
4-2.女性は複数のことを同時並行でこなせる
働く女性や家事・子育てに忙しい女性は、時間の確保が困難になります。
しかし、アパート経営は、四六時中時間を拘束されることはありませんので、兼業大家も多数います。
むしろ、働く女性や子育てに忙しい女性の大家さんの方が、入居者から信頼を寄せられるケースが多いと感じています。
筆者は約10年間、大家の勉強会に参加していましたが、その中には、多くの女性の大家もいました。
話を伺いますと、大抵は勤務されているか、子育てや家事に忙しい女性ばかりでした。
男性は一つのことしかできない人が多い傾向にありますが、女性は逆に複数のことを同時並行でこなす人が多い傾向にあります。
そのことも大きな強みの一つです。
4-3.アパート経営に女性のコミュニケーション能力を活かせる
アパート経営において、運営時に最も必要なことは、入居者とのコミュニケーションです。
いつでも、挨拶し話ができる関係性を築くことが大切です。
その点、女性は男性よりもコミュニケーションを上手に取れる傾向にあり、有利に働きます。
4-3-1.入居者の困りごとには即対応
入居者に建物や設備のことで困ったことが生じた場合、すぐに連絡をもらい、素早く対応を図る姿勢が重要です。
例えば、
・備え付けのエアコンが作動しなくなった場合
・給湯器からお湯が出ない場合
などです。
即対応しますと、
・入居者のストレスは下がる
・入居者の満足度が上がる
状態となり、長期入居へと繋げることができます。
そうした姿勢は不動産会社にも伝わり、「入居者を大事にする大家さん」ということで、入居者付けを優先的にしてもらえるメリットも生じます。
4-3-2.様々な職種のネットワーク形成が必要
アパート経営は、大家だけでは不可能で、様々な職種の方の協力が必要です。
その際、コミュニケーション能力がありますと、容易にネットワークの形成ができます。
具体的にネットワークを形成したい対象を下表にまとめます。
5.アパート経営を女性が行う際の注意点
アパート経営を女性が行う際の注意点として
・大家に占める女性の割合が少ない
・アパート設備の充実度合を過剰にしない!
・融資を受けることが困難になる可能性有り
などが挙げられます。
5-1.大家に占める女性の割合が少ない
「オーナーズスタイル」は、全国8万人以上のアパート・マンションオーナーに読まれている賃貸経営情報誌です。
その読者は、
・関東エリア:約37,000人
・関西エリア:約12,000人
になります。
その全てが、同地域内で賃貸アパート・賃貸マンションを1棟以上所有する賃貸経営者(大家)です。
オーナーズスタイルの読者データによりますと、大家に占める女性の割合は約23%になります。
(出所:OWNER’S STYLE)※7
注意点としては、賃貸経営の分野は、まだまだ男性社会であることを裏付けています。
したがって、女性の大家同士で相談し合う機会が少ないというデメリットがあります。
しかし、現在はテレワークが発達したおかげで、離れていても大家同士がコミュニケーションを取れる機会が増えています。
例えば、「女性大家さんの会 Elegant Owners」という勉強会に連絡を取ってみるのも良策といえます。
代表者がYouTube動画を多数出していますので、非常に勉強になります。
アパート経営は、上述しましたように、女性の感性が有利に働く事業です。
女性の大家の割合が少ないことは、逆に女性にとってチャンスといえます。
男性目線のアパート経営よりも、女性目線のアパート経営の方が、入居者には喜ばれると考えられるからです。
したがって、男性の大家は、ぼやぼやしていられない状況になります。
特に、上から目線の大家は、どんどん駆逐されていきます。
5-2.アパート設備の充実度合を過剰にしない!
アパート経営において、女性目線は大事ですが、それが行き過ぎて設備や仕様を過剰に設置する女性大家も中にはいます。
確かに、見栄えが良く設備が充実しますと、入居者付けし易く、空室率も下がるというメリットはあります。
しかし、度を越えますと投資額が大きくなりすぎ、利回りが小さくなり、キャッシュフロー(手残り額)が少なくなるという事態に陥ります。
リフォームにかける費用と利回り・キャッシュフローのバランスを考えながら、建物管理を行うことが重要です。
なお、アパート設備については、下記の記事をご覧ください。
また、利回りについては、下記の記事をご覧ください。
さらに、キャッシュフローについては下記の記事をご覧ください。
5-3.融資を受けることが困難になる可能性有り
女性の社会進出や職場などにおける地位向上は昔と比較しますと進んでいますが、金融機関による独身女性に対しての融資審査は、まだまだ厳しいものがあります。
金融機関は、独身女性に対して収入が不安定であると考える傾向にあります。
その際、日本政策金融公庫など、若年齢者や高年齢者、女性といった弱者に対して融資を優先的に出す金融機関をあたることが賢明です。
なお、日本政策金融公庫については、下記の記事をご覧ください。
6.まとめ
以上、
1.将来に不安を抱く女性が多い
2.女性が将来に不安を抱く理由
3.アパート経営は女性の将来に対する不安を解消!
4.アパート経営は女性の強みを活かせる!
5.アパート経営を女性が行う際の注意点
について解説しました。
女性が将来に不安を抱く理由として、未婚率の上昇と晩婚化、男女間の賃金格差、平均寿命の長さ、老後資金2,000万円問題などが挙げられます。
それらの不安を払拭し、将来の生活資金における糧の一つとして、有力な候補に挙がるのが、アパート経営です。
女性がアパート経営をする際、
・物件購入には、女性目線が有利
・女性は複数のことを同時並行でこなせる
・女性のコミュニケーション能力を活かせる
点がメリットになります。
女性の感性を活かしたアパート経営は、入居率が高く退去者が少なくなる傾向にありますので、自信をもって挑戦されますことをおすすめいたします。
7.Webサイト
※1 「ベルメゾン生活スタイル研究所「女性の生活意識アンケート調査(第13回)」結果を発表」
senshukai
https://www.senshukai.co.jp/main/top/press/release/20180806/index.html
※2 【働く女性のお金の意識と投資に関する調査】
auじぶん銀行株式会社
https://www.jibunbank.co.jp/corporate/news/2021/1214_01.html
※3 「人口統計資料集(2020)」
国立社会保障・人口問題研究所
※4 「第1部 少子化対策の現状(第1章 3)」
内閣府
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2018/30webhonpen/html/b1_s1-1-3.html
※5 「定点観測日本の働き方 女性の賃金」
リクルートワークス研究所
※6 「平均寿命の推移」
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-02-01.html
※7 「読者データ」
オーナーズスタイル
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